‡運命の日・桜華の舞・そして死神の涙‡

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芹沢とお梅が大事そうに胸に包み込むようにしていた物は、小さな光の球だった。 『こっこれは!』 シキは、驚いた。 『どうした?これが何か分かるのか?』 そう言うと驚くシキを不思議そうに見る土方。 『これは、死神の魂。消滅したはずの薫さんの魂です』 シキは、その小さな光の球を優しく、芹沢とお梅の元から離すと手の平で優しく包み込んだ。 その言葉に、いち早く反応した沖田。 慌ててシキに近寄ると 『薫さんッ!?薫さんは、生きているんですか!?』 沖田の目に光がもどった。 だが、それは、シキの言葉で脆くも崩れる。 『いえ・・・。彼女は、死んでます。ただ消滅を免れ、ただの魂に戻っただけです』 『そんな・・・』 沖田は、シキの持つ薫の魂を見ると、またもや崩れるようにその場に、うなだれた。 『ですが、これは生まれ変わりの第一歩です。 心を満たされ無い魂が死神になり、死神は、心が満たされれば魂に戻ります。それは、小さな光の球。 薫さんの心は、芹沢とお梅の心によって満たされ、最後の時に魂に戻った為、消滅を免れたのでしょうね。 だから、沖田さん。 そんなに、悲しい顔をしないで下さい。』 シキは、沖田を優しい目で見ると薫の魂を沖田に渡した。 『温かい・・・』 沖田は、薫の魂に触れると、そう言って涙した。
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