865人が本棚に入れています
本棚に追加
『温かい魂は、思いが満たされた証拠。
薫さんは、幸せだったんですよ』
シキは、優しく言う。
『幸せだったんですね』
沖田は、シキの言葉に少し救われた。
自分の罪がこれで消えるわけでは無いが、大切な人が最後の時を幸せに過ごせたのなら・・・と、沖田の心に温かい風が吹いた。
沖田は、涙を拭い
『薫さん!私、頑張って生きます。そして、芹沢さんが愛した、この新撰組を支えます・・・』
そう言うとシキに薫の魂を返した沖田。
その顔は、もう泣いてなどいなく優しい笑顔に満ち溢れていた。
シキは、そんな沖田を見ると
『では、私達は死神界へ戻ります。
新撰組の皆さん、色々と有難うございました』
シキは優しく、そう言うと一瞬にして光を身に纏い、手に包み込む薫の魂と共に消えていった。
そんな様子を土方、山南、沖田、原田の四人は、黙って見送った。
この後、新撰組の歩む未来は、壮絶で悲しいものになるだろう。
だけど彼らは、一人の産まれくる事の出来なかった少女の魂を胸に一日一日を頑張って生き抜く事だろう。
そう、死神少女が彼らに残した物は、命の温もりだから・・・・・。
最初のコメントを投稿しよう!