第一話 現れた人格

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「みなさんも驚きでしょうが、そこの三体がこの少年の人格です それらは長年、無意識のうちに蓄積された感情の塊です。    感情は心の行き場を失い、一人苦しむ時に除々に人格を形成する。 そしてやがて、主格すなわち人格を作ってしまった本人の体から出てくるわけです。  更に人格は・・」 「オイ」   説明するルドゼブの言葉を、誰かがさえぎった。   ルイスから出てきた人格の中の一人、黒い服の少年だった。 「さっきから聞いてりゃ何だ?? 人をただの物のような言い方しやがって。」 「! キミ、言葉を・・」 「あ? 言葉を話しちゃ悪いかオイ。  なめんなよ、 くそジジイ!」 (こ、言葉を話す人格・・・・! そんな・・・まさか・・・  ということは・・ まさかこのルイスという子は・・・多重人格者の千人に一人の割合で存在する・・ 「意志を持つ人格」の持ち主なのか!!?) 「オイ!」  ふいに声がし、 バシッ!!! 黒服の少年の一撃が、ルドゼブの頬を直撃した。 「ぐあっ・・!」 ドサッ・・・ 「・・・フン、オレを無視した罰だ。」 不敵な笑みを浮かべて少年はそう言い放った。 地面に倒れたルドゼブにルイスは駆け寄った。 「大丈夫ですか?! ルドゼブさん!」
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