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長老と、村人の一人は、ルイスのすぐ目の前までゆっくり歩いてきた。
ルイスは、自分の背中に冷たいものが走り、どんどん血の気が引いていくのを感じた。
彼は長老の目を見ることができず、下を向いていた。
「ルイス・・・・・残念だが・・・」
村は静けさに包まれた。
「キミを、村の掟に従い死刑とする!」
「!・・・・・・・」
ルイスはもう言葉が出てこなかった。頭が真っ白になった。
長老はグラスに毒薬を注ぎ、ルイスの口元まで持ってきて手を一度止めた。
「ルイス、何か言い残すことは?」
「・・・・・・・」
ルイスはうつむいたまま、しかししばらくしてから口を開いた。
「ボクは・・・・」
「ん? 何だね。」
「ボクは・・今まで自分の好きなことはほとんどしてきませんでした。
小さい頃から親の命令ばかりに従い、自分を殺して生きてきました。
学校に入ってからは、家に帰れば常に机に向っていないと母から叱られていました。
でもボクは、立派な大人になれば、親からも自立できて、自分のしたいこともできるようになる、
それまで余計なことは何も考えずに、いい成績さえとっていれば将来何も困ることがなくなると思っていました。
・・・・・・・・なのに・・・・・」
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