序章

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いきなり、イヤホンから流れていた曲の音が止んだ。 「やだっバッテリー切れ? …でも…来るとき満タンにしたのに?」 どのボタンを押しても、暗くなったディスプレイに光が点ることはなかった。 怒りか悲しみか分からない感情がこみ上げてきたが、今はそれどころではない。 まずは 入寮手続きが重要だ。 「まぁ…後からもう1回充電すればいっか…」 地図を指でなぞりながら道を確認する。 「えっとー…このまま真っ直ぐね。」 地図を小さく畳んでスカートのポケットに押し込み、地図で確認した道を走った。 「…何でこんなに真っ暗なんだろ…」 走る道の先には、街頭が1つも点いていない。 しかも…人が1人も居ない。 あるとすれば…よくハリウッドのホラー映画で出てくるような…血塗られた棺桶がそこら中に立っていた。 「何かの企画か何かかな?」 普通暗闇の中で棺桶を見たら不気味な筈なのに、不思議と恐怖は感じなかった。
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