序章

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「…ここ…だよね」 たどり着いた先にあったのは、寮とは言い難い建物だった。 少し小さめの…ホテルと言った方がしっくりくるような、外観が綺麗なものだ。 けれど、扉の前に大きく『巖戸台分寮』と書かれてある。 地図を取り出し、よく確認する。 …どうやらここで間違いないようだ。 近付くのを躊躇うような大きな扉を動かす。 鍵は…まだ掛かってないようだ。 「間に合った…!!」 その扉に全体重をかけ、ゆっくりと開けた。 バタンッ 内装も、ホテルのラウンジのような作りだった。 一言で言うなら…綺麗なホテルだ。 肩に担いであったスポーツバックを床に置き、電気のスイッチを入れるために辺りを見回した。 「遅かったね。」 いきなりカウンターから声が聞こえた。 反射的に声がした方を見ると、小さな男の子がカウンターに頬杖をついて こちらを見ていた。
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