もう一度、さよなら

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  『な……。』   言葉が出なかった。 なんでって、 言いたかったんだ。   どうして、そんな 傷付いた顔をするの?   あたしの事なんて ほっとけばいいじゃん。   アンタがそんな顔を するから、アンタが いつもあたしに 優しくするから、 だから、あたしは 貴方から離れられない。   裕樹の前に手をかざす。   『裕樹…それ反則。もう、出てってよ。』   声が震えないように あたしは言った。   ヤバい。   あたしが泣きそう。 心が凄く痛い。 そんな顔しないで。   『みなみ…』   呼ばないで。 あたしの名前なんて 呼ばないでよ。   『……早く、出てって。』   柳沢華林が泣くよ? こんな所に居たら。 知ったら。   『みなみは、俺と離れたいの?俺は、みなみを……もう守れないの?』   何を言ってるの。 もう、やめて。 その気にさせないでよ。   『あたしは…、裕樹が嫌いよ?だから、あたしの側に居ないでよ。アンタみたいな最低男、もう嫌いなの!』  
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