2551人が本棚に入れています
本棚に追加
次の瞬間に、彼は
あたしを抱き締めた。
強く、強く。
『……ッ!?』
言葉が出ない。
『どうしたら、好きになってもらえんの?ずっと、みなみを守って来たのは俺でしょ?』
強気な言葉とは
反対に何故か強く
抱き締めている腕は、
手は震えていた。
これ以上、あたしの
心に入って来ないで。
本当に、あなたがいなくちゃ
生きられなくなる。
『離してってば!あたしは、嫌いって言ってるでしょ!?最低男!』
『……』
涙が溢れそうになる。
お願いだから、彼と
さよならするまで
堪えていて。
あたしは、必死に
我慢をした。
『柳沢華林と付き合ってるくせに、どうしてこういう事が出来るのよ!あたしに、さよならしたじゃない!なのに、なんで、なんでこんな事できるの!!』
彼を押す。あたしから、
いとも簡単に離れた。
あぁ、これで
あたし達は終わる。
恋人にもなれない。
友達にもなれない。
『……裕樹、さよなら』
最初のコメントを投稿しよう!