真実

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『裕樹君を最低って言うなんて酷いよ!そんな事言ったら、みなみだって…ッ』   途中まで言いかけて 唯は、口を手で覆った。 ハッとしたような 顔になりあたしを見る。   『みなみ、ゴメン。』   小さな声でそう言った。 あたしは首をふる。 唯の言っている事は 当たってる。   あたしだって最低なんだ。 嫌、あたしが最低なんだ。   『いいの。』   そう言いながら 遠くを見た。   『……』   あたし達の間には 沈黙が生まれた。 しばらくしてから、   『ウチ、ちょっと調べて見る。あっちの学校に友達いるし。待ってて。』   唯は、そう言ってくれた。   あたしは頷くだけ。   もう、良いんだ。 例え真実を知った所で あたしの気持ちは きっと変わらないから。   柳沢華林がいる限り あたしには、なんの チャンスもない。   出来るのは、ただ 彼を嫌う事だけ。
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