真実

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部屋のベットに 寝転がる。 彼との思い出は、 この街に、この部屋に 溢れている。   全部、捨てなくちゃ。   そう思った。   捨てられなくても、 どこかに閉まって おきたい。 いつか、開ける時が 来るまで一時的に 閉まっておける物が 欲しい。   あたしは、手を 額に当てて天井を 見上げた。   窓からは、涼しげな 風がカーテンで 遊んでいる。 あたしの気持ちも 一緒に流して 欲しいのに。   目をつぶる。   忘れようと思う程に、 気持ちとは逆に 思い出はリアルに蘇る。   彼の仕草。笑い方。 性格。思い出。温もり。   彼に関する事、全てが あたしの全感覚を奪う。   あぁ、声が聞きたい。
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