真実

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静かな部屋に音楽が 鳴り出した。 携帯だった。 この着信は電話。   あたしは唯だと 思って電話に出た。 彼女以外には、あまり 電話はしなかった からだ。   『もしもし?』   手で目を覆って 電話に出た。   『……』   また、沈黙が流れる。 電話の相手もあたしも 二人共が無言。   『もしもし?唯だよね?』   あたしは、不思議に 思って聞いてみた。 彼女は、無言電話など しなかったからだ。   『いや……俺。』   明らかに男。 懐かしすぎる声。 ずっと、ずっと 聞きたいと もう一度聞きたいと 思っていた声だ。   『ひ……裕樹なの?』   『うん。』   『……ッ』   あたしは無言になる。 なんて言っていいのか 分からない。   って、言うかなんで あたしに電話を?
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