真実

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一瞬、少しだけ 喜んだ自分がいた。 だけど、すぐ 現実に戻る。   『何を…い……ッ』   言葉が出てこない。 喉に何かが詰まった感じ。 彼も無言のままだった。   『みなみ、』   『…』   あたしの名前を 呼ばないでよ。   そんな気持ちを 持ってるのに、 なのに、電話は 耳から離さない。   彼の声を聞いていたい。   それが、本心。     『みなみ、何か話して。あいつが起きるまでだから。』   『……華林さんの病院にいるの?』   『うん、そう。お願いだから、アイツが起きるまで。何か、ずっと話してて。』   裕樹の声は、まるで 消えそうだった。 何かに怯えてそうな。 そんな感じだった。   華林さんの病院に いるから? それとも、他に 何かあるの?
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