真実

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次の日、あたしは 学校に行く。 いつもと同じように。   唯が駆け寄って来た。 息を弾ませて。   『みなみ、裕樹君の彼女って柳沢華林って言うんだよね?』   『え?うん。』   あたしは、興味が ないかのように 机に頬杖をついた。 もう、アイツとは 関わらない。 そう決めたんだ。   『その子、高1の後半からほとんど来なくなって、今じゃ学校に来ないでずっと病院にいるんだってよ!』   『えッ?ずっと病院?何かの病気なの?』   唯は、あたしの問いに 真剣な顔をして 重く口を開いた。   『……心臓が悪いんだって。』   『…』   何も話せなかった。   『もう長くないんだって。』   そう言えば、彼女は 苦しそうに胸を 押さえていた。   『裕樹は…知ってるのかな?』   『知ってるらしいよ。』   『……そっか』   そこから言葉が 続かなかった。 なんて言っていいのか 分からなかった。  
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