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少しの無言の後に
弘美は口を開いた。
『ねぇ、あなたは聞いた?』
『…』
あたしは、
わけが分からなくて
彼女の顔を見た。
『柳沢華林の事。』
弘美は、あからさまに
ため息をついて言った。
『あ~うん。心臓の病気なんだよね……。』
この人はなんなんだろうと
あたしはそう思った。
『あの子、もうすぐ死ぬらしいわよ。』
あたしは思いっきり
弘美の顔を見た。
彼女は、顔色一つ
変えないでスラスラと言う。
『裕樹は、彼女の側にずっと一緒にいるの。なんでだか分かる?そう約束したのよ。付き合ってからね。』
『…』
『私はあんたみたいな奴、大嫌いなの。裕樹もあんたと同じ事してんのよ。マジで最低。馬鹿な奴なのよ。』
『……だから何?あたしには、もう関係ないんだけど。』
『彼女が死んだら裕樹は一人になるのよ?多分、どん底まで落ちるわ。誰が慰めるの?』
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