真実

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彼女はブランコから 立ち上がる。   そして、もう一度と言う。   『誰が慰めるの?』   あたしは彼女から 顔を反らす。   あたしじゃない。 彼を慰めるのは、 あたしじゃない。         あたしは、イヤだ。         『……やっぱり最低なのね。好きなら、無理しないで自分の気持ちを言ったら?   どうせこの先、裕樹の事を引きずって誰かと付き合おうとしてんでしょ?   マジで最低だから、そういう事やめたら?』   そう言葉を吐き出して 彼女は帰って行く。   柳沢華林が死ぬ?   なんでそう決めつけるの? 死ななかったら? あたしが、また 泣く事になる。   もし、死んでしまったら 裕樹は絶対に悲しむ。 でも、その悲しみを あたしは慰められる だろうか。   “人の死”   その悲しみを 癒すなんて 難しいよ。  
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