真実

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その夜にあたしは 彼に電話した。   裕樹に。   真実を確かめるために。           『もしもし?裕樹?』   『……うん。』   彼の声は沈んでいた。 疲れているとも取れる。   『聞きたい事があったの。華林さんの事……。』   『なに?』   心なしか、裕樹の 返事は冷たいような 気がした。   『……心臓が悪いんでしょ?もう長くないって聞いた。裕樹は―』   『だから何?』   思ってもみなかった返事。 裕樹は、こんな風に 言う人だったっけ?   『そ、そんな言い方する事ないじゃない。』   『なんで電話、勝手に切った?俺と関わりたくないからだろ?俺ともう関係をなくしたかったからだろ。』   『……ッ』   言葉につまる。 確かにそう。 裕樹の言ってる事は 当たってる。   でも、あたしは 本当にそうは 思っていなかった。   ただ華林さんがいるから、 だからあたしは……。
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