真実

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『俺もお前と関係をなくそうとしてたし、ちょうどいいじゃん。この機会に俺達の縁切ろうか?』   『なっ、何言ってんのよ!どうしちゃったの!?』   彼の声は段々と 低くなって来る。 今までに聞いた事が ないような声。   あたしは、どうしたら いいのか分からなくなった。   あたしは、真実を確かめて どうしようとしたの? 彼を慰めようとした? 関係を立ちきろうとした? 想いを捨てようとした?   一体、何をしようとしたのだろう。   『……もう電話しない。もう話す事もないよ。』   『ひ…ろき?待って。落ち着いて。変だよ。何かあったの?』   『もう嫌なんだ。じゃあ…な』   ブツッとその電話は 切れてしまった。   あたしは、 どうしようもなく 悲しくなった。   ただ、泣きたくなった。   あたしは何をしようとした。 真実を聞いて…。   そんな策略的なものでは なかったような気がする。   ただ、彼の声が 聞きたかった。   それだけ。
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