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目を閉じて、なんとか
息はととのえた。
誰かが近付いて来た
気配に目を開けると
唯だった。
唯はしょんぼりとしている。
『……唯?』
『間に合わなかったみたい。もう、柳沢華林はこの世にいない。』
『……』
何も言えない。
あたし達には知らない人。
だけど、裕樹の知ってる人。
ふと、病室がたくさんある
棟へと続く廊下を見た。
『……あ。』
『あ!裕樹君じゃん!』
唯も裕樹を見つけた。
裕樹は、視点が
あたし達と合わない。
どこかを見たまま、
あたし達の前を
通り過ぎた。
『……ひ、裕樹!』
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