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なんとか、ばあちゃんは命を取り留めた。
でも意識は無いままで
じいちゃんは、ばあちゃんの手を握りしめていた。
親父は母親が倒れたので、仕事の休みを延ばしてもらうために携帯片手に外にでて
お母さんは医者の話しを聞くのに別室に移動した。
病室は、俺とじいちゃんと眠ったままのばあちゃんだけになり
静まりかえり、沈黙を保ち続けた。
その沈黙を破ったのは、じいちゃんだった…
「鎖…」
「…ん?」
「鎖が…切れちまうよぉ…」
じいちゃんは僕に背を向けて、ばあちゃんの手をしっかり握りながら
小刻みに震えていた。
「そんな事ない」
言いたかったけど、言えなかった。
「ばあちゃんは、ずっとこのままだ…。こんな俺について来てくれたんだ。疲れただろうに、ゆっくりおやすみだ。」
そう言って、じいちゃんは微笑んだ。
何を言ってるんだ?
何を根拠に…
「じいちゃん!!なんでそんな事言うんだよ!!」
って、怒鳴りたかった。
でも…ばあちゃんの、気持ち良さそうな寝顔と
じいちゃんの、微笑みからは
暖かさがこぼれていて
怒鳴るどころか、目の前が滲んだ。
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