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試合は熊谷の先攻で始まった。
打席には1番の阿部。
俊足に加え、長打力も兼ね備えている打者だ。
蓮(まずはこれだ。)
優聖(はいよ。)
シュッ
ククッ
パシィ
─ストライク
初球はカーブから入ってきた。
優聖(そういえば初球が変化球からなんて初めてかもな。)
そんなことを考えていると蓮から2球目のサインが出た。
シュッ
ククッ
阿部(またカーブか。)
2球続けてのカーブ。
阿部も読み違えたのかピクリとも動かなかった。
そして3球目。
シュッ
阿部(ストレートっ!)
ククッ
ブンッ
ボールはカーブし、阿部のバットをのらりくらりとかわして蓮のミットに納まった。
優聖「しゃぁっ!」
相手の裏をかき続けた蓮の見事な配球。
凛「強気な優聖が全球変化球のリードに従うなんて…。」
そう。
前までの優聖なら直球で仕留めたがっていたが故に全球変化球のサインには首を振っていた。
しかし、マウンドには大人になった優聖がいた。
監督「エースの責任があいつを成長させたんだろう。」
凛「え?」
監督「…西条、お前の見込んだ男は少しずつ成長してるぞ。」
そして優聖は後続の2番稲垣をショートゴロ、3番細川をライトフライに討ち取り1回を0点に抑えた。
1回表終了
熊谷章 0-0 北桜
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