変わる日常

9/19
306人が本棚に入れています
本棚に追加
/83ページ
「一夜!!」 司が叫ぶ。 「あ~、心配すんなって」 「ふん、わかっていないようだな。お前に打つ手などない」 俺の態度が癇に触ったのか、女の声が明らかに馬鹿にするような色を帯びる。 「大人しく従え、そうすれば悪いようにはしない」 「こんな恐喝まがいのことしといて、よく言うな」 そうしている間にも、黒服達はいつでも銃を撃てるよう構えている。 「まぁいい、従わないならそれまでだ」 交渉を諦めたのか、女が再度手を挙げる。 「撃て!!」 瞬間、銃口が火を吹いた。 パン、パン、パン 銃声が連続する。 けれど、倒れたのは黒服達だった。 「なん、だと!?」 状況が把握できず、女が驚愕の声をあげる。 「何驚いてんだよ」 俺の言葉に女が反応する。 「貴様!!、っ!?」 その時になって気付く。俺との距離が離れていることに。 「まさか!?」 ギリリと女が歯を食いしばる。 「跳んだのか、あの一瞬で」 タネ明かし、なんてレベルでもない。女の言う通り、ただ跳んで避けただけだ。 「銃を使う前に、頭を使えよ。あんな状態で撃てば、味方に当たるのは当然だろ」 銃弾が届くより速く、バク転をした。 その結果、標的に当たるはずだった弾は、相手に当たらず、味方に当たることになった。
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!