運命の出会い

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春、暖かな陽気に包まれた風が優しく頬を撫でる。 「ふあぁ~、眠い」 大きな欠伸をしながら、瞼をこする。 いくら寝ても寝足りない。ってのは大袈裟だけど、陽射しを浴びているとつい寝てしまいそうになる。 とはいえ、このまま寝たら間違いなく遅刻だ。流石にそれはヤバイ 「急がねぇと」 駆け出そうとした時 「・・・て下さい」 「別に・・・・・だろ」 「いや、誰・・・助け・・・・」 何処からか、言い争ってる様な話し声が聞こえる。 「なんだ?」 耳を澄ませば、やはりその声は言い争ってる。誘う男を拒絶している辺り、ナンパか何かだろう。何にせよ俺には関係ない。 変な事に首突っ込んで、嫌な思いをする理由もない。 俺が助ける必要なんかない。 別の誰かが助けてくれる。 だから俺には関係ない。 そこまで考えて、考えるのをやめた。 「違うだろ、そうじゃない」 自分に言い聞かせる。 「はぁ~、今日は遅刻だな」 そういって、俺は踏み出す。 勿論、学校とは反対方向にだ。
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