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だが眼鏡に気を取られていた俺は気付かなかった。
「黒魔帖(くまじょう)東」
フルネームで呼ばれて、俺はムッとして顔を上げる。
勢いよくあげた為顔にかかっている前髪が横へ回った。
「ッ!?」
思いっきり優斗を睨んだら赤面した顔を思いきりそらされた。
「どうしたの~」
そんな優斗の様子に羽暖達が近づいてくる。
座った状態から俺は皆を見上げた。
「ヤバッ何、会長ってこんな‥」
「‥お約束かよ」
「‥可愛い‥」
「うわぁ、僕こんな綺麗な人初めて見たぁ」
かろうじて皆の顔が赤いのは分かるが何れが誰なのかが一致しない。
近くで確かめようと立とうとした時、俺はバランスを崩してよろけた。
だがいくら待っても痛みが来ない。
恐る恐る目を開けると俺は多分朱咲に支えられていた。
「わりぃ」
そして何故かソファに連れていかれ、これまた何故か俺は質問攻めにあっていたりする。
「何で隠してたんですか?」
いきなりそう聞かれても分からない。
というか何を?
主語を下さい。
「変装の事だよ」
俺が分からずに悩んでいると海渡が主語をくれた。
うん大切なんだな、主語って。
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