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なんだろう。どうにも行動の端々に怒りのようなものを感じる。
「ゆ、雪さん……?」
応えない。むしろずんずんと歩みが速まったようにも思える。
なんなんだよ。
俺は半ば駆けるようにして追いつくと、彼女のペースに合わせながらその顔を覗き込んだ。
「なんだよ。怒ってるのか?」
「怒っていない。早く帰りたいだけ」
そうかよ。
どうやらご立腹のようだ。原因も、俺にありそうな気がする。
心当たりはさっぱりだが、雪の瞳が『オメーのせいだよ』と言っているように見えた。
仕方ない、とりあえず話題を変えるしかない。
身に覚えのないことに対して謝れる程、大きな器なんて持っていない。
「そういえば、お前の家ってあの《月宮》だよな? こっからじゃかなり遠いけど、迎えかなんか来るのか?」
雪は一拍の間を置く。言うかどうか考えているのだろうか。
「ない。歩いて帰る」
簡潔に答えた。
「マジかよ!?」
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