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そして────。
「う、嘘じゃない嘘じゃない! いやむしろぜひお願いします私に守らせ下さい一緒にいさせて下さいませこのとおりです!」
耐え切れなくなった俺はガバッ!! という効果音が付くほどに勢いよく頭を下げた。
「……仕方ない。ついてきて」
満足そうに言った彼女は、またツカツカと歩き出す。
「……………………なっ!」
顔を上げると、振り返った少女がしてやったり、という様子でニヤリと笑っていた。
絶句。
謀られた。一体どこであんなテクニックを覚えたのだろう。
……いや、心当たりは一人いるのだが。俺の身近に、というか身内に。
「早く来て。日が暮れる」
再び歩き出した少女の後姿を追いかける。
荒ぶる魂と、やるせない気持ちをぶつける先を思い浮かべながら。
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