第一章 放課後(The Boy and The Girl)

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 俺達の通う学校は平地に建てられている。いや、この《シティ7》は月のクレーター内部に造られているため、高地も盆地もありはしないのだが。  見渡す限り同じ高度の土地に、様々な建物が乱立している状態だ。  そんな所から歩いて三時間。右折、左折はあれど、直線距離にして十km以上。  そこがこの《シティ》の中心部。そこに《月宮》がある。  そんな所にあるのに、今俺達がいる場所から見ても建物の一部を肉眼で見ることができる、広大かつ高層。つまりは巨大で常識破りな建造物だ。  しかし、いくら大きかろうと、そこに至る道は長い。  もう俺の自費でいいから電車でも使おうかと思う程度の距離はある。  そんな道程を二人でそぞろ歩くことになる。  ちなみに俺の家とは逆方向。  逆方向、なのに。 「雪、そっちじゃないぞ。こっちの道の方が近い」  一緒に帰って、と(直接ではないにしろ)言っていたはずの雪は、俺が隣にいることなどお構いなしにスタスタ歩いていく。
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