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早々にエレベーターに乗り込む雪を追いかけながら、これからの生活を想像する。
ご覧の通り無表情系少女が四六時中隣でマイペースなことを延々のたまっている。
「……あー。楽しい生活になりそうだな…………」
何故だか気持ちが昂らない。
いや、きっとそれは病み上がりで学校に行ったせいで、疲れているからだろう。そうに違いない。
二人だけで乗り込んだエレベーターが五階を示したところで停まる。
「……なあ」
気持ち控えめに切り出す。
無骨なドアが音もなく開くと、オレンジ色した西日が差し込んでくる。
雪は呼びかけたにもかかわらず、自分の行動を中断させることなく、エレベーターから出ながら「なに」とだけ返してきた。
一、二歩遅れて雪の後ろについて歩く。
自然、用件は彼女の背中に向かって呼びかける形になる。
「そういえば、静はどうしたんだ? あいつも『何故か生徒として』ウチの学校に来るんだろ。今日見なかったけど」
雪は一旦足を止めて、こちらをチラと一瞥する。
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