第一章 放課後(The Boy and The Girl)

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「静はまだ来ない」  最短の言葉を発して、また歩き出す。  ……端的過ぎる。  今日来ていないんだからそのくらいは分かる。 「来ないのは知ってる。俺が聞きたいのは、あいつが今何してるかってことだ」  雪に追いついて隣を歩くことにする。 「……今は確か、ちょうどシャワーの時間のはず」 「そんなピンポイントな情報は聞いてねえ!! なんで来れないのかってことだよ!」  まったくもって、ずれている。  雪は俺が急にテンションを上げたからだろうか。なんとも煩わしそうにため息をついた。 「事後処理」  ……やはり一言。  どうやらあまり話したくないようだ。  仕方ない。自分で考えてみるしかないな。  秋野静(あきの しずか)。  雪の護衛で彼女同様に力を持っている、風を操る女性。  彼女の印象ははっきり言って初対面から最悪に近い。彼女にはボコボコにやられた記憶しかないと言っても過言じゃないだろう。  しかし、彼女は俺と同じく、いやそれ以上に雪のことを守りたいと思い、そして事実守ってきた。  そういう意味では、気の置けないやつではないだろうか、とも思える。  先日の一悶着も、結局彼女を守る為だった。  果たして今、その『事後処理』にあたっているのだろう。
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