第一章 放課後(The Boy and The Girl)

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「ところで」  ん?  雪の方から話しかけてきた。珍しいこともあるもんだ。 「なんだ?」  思ったことは当然表には出さず、なるべく気楽に返すことにする。 「なぜ静のことばかりきくの」  瞬間────。  かつてないほどの悪寒が体中を駆け巡った。  自分の死を直感し、予感したときでさえ、ここまでではなかったはずだ。  発生源はもちろん、雪だろう。  彼女は体からその名に恥じぬ冷気(幻覚)を放っている。  俺は自慢でも自惚れでもなく、雪が何を考えているのか、その瞳、僅かな表情の変化、行動の端々から、読み取れるようになってきたように思える。  雪の方も、出会った当初よりも随分と心を開いてくれたように感じていた。  だが────。 「いいいいいい一体どうしたのですかお姫様!? な、何故にそんなにお怒りで!?」  今は何故だか分からなかった。  雪はしばらくジッと俺を見つめる──いや睨みつけていたかと思うと、盛大にため息を吐いて立ち止まった。
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