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如月の住むマンションのすぐ脇の歩道に、その人影はあった。
人影は少年達が扉を閉め、中に入っていく様子を興味深げに見上げていた。
「…………あれが降谷雪」
その人影は、少女だった。見た目十六、七才くらいの、大人とも子供とも言えないような、そんな少女だ。
「────これからがすごく楽しみになってきた…………な?」
少女は含んだ笑みを浮かべると、まるで誰かに問いかけるかのように言う。だが、周りには誰も、通行人の一人すらいない。
「…………クス」
しかし、彼女の中では成立しているらしく、相づちを代わりに目を細める。
そのまま少女は口元に薄い笑いを浮かべかと思うと、身を翻し、その長い髪を優雅に揺らしてその場を去った。
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