第一章 其の二 三人(at Home)

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 自宅に着いたが、いつもの「おかえり」の声がない。どうやら姉さんはまだ帰ってきていないようだ。  鞄を居間のテーブルに乱雑に置くと、奥のソファーにどかりと座った。途端に疲れが全身を襲う。  五日前────丸々眠っていた俺の感覚としては昨日────の怪我も完治はしていない為だろう。  眠い……病み上がりで体力が戻っていないのか?  時刻は今夕方の六時。寄り道をしていなければもうすぐ如月美智子──姉さんが帰ってくる。  せめてそれまで起きていよう。おかえりぐらい言ってやらないと、すねるからな…………。  ……………………。  …………。  ……。  目を覚ますと、ソファーに横になっていた。  ……目を覚ます? 眠っていたのか。  こうこうと照る電灯に目をシパシパさせると、何やら人の気配がするのを感じた。  姉さん、帰ってきたのか。  覚醒しきれないまま、一瞬チラと横目を向ける。  …………今、真横に人がいたような。白い髪に、何か赤いものを首に巻いていたような……。  もう一度、今度はしっかりと見遣る。  見間違うはずもない。先程別れたばかりの少女、雪だった。image=318475627.jpg
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