序章 終春(End of Spring)

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 さて、長々とだらだらと話してしまったが、肝心の彼女自身についてはなんの前置きもしていない。  まず、桜と俺の関係は、ありていに言えば幼馴染みという部類に入るだろう。  家が近所にあったため、小さい頃から同じ学校で、校内でも遊ぶときも、いつも一緒にいたように思える。  性格は一言で言えば明朗活発。インドア、アウトドアに関わらず大抵の遊びの類は好んでいるようで、小さい頃はそれこそ子供たちが公園で遊んでいるものから、数年に一度しかないような祭典まで、そういうイベントが近所であるという話を聞きつけるたびに飛び込んでいって、俺はそれに毎日のように引っ張りまわされていたような気がする。  とにかく行動的で、周囲の視線よりも自分が楽しいかどうかが優先される。ともすればほんの少しばかり力を入れるベクトルを間違えるだけで、とんでもなくはた迷惑な人間になりそうな心配もある。  何をするにも、どこへ行くのも、どんな時でも常に一緒にいさせられた気がする。
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