第一章 其の二 三人(at Home)

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「ひさしぶり」  開口一番、そんなことをのたまった。  冗談のつもりなのだろうか? それとも本気で?  雪の無表情な顔からはどちらかも想像がつかない。  頭が全く回っていない身としては、ここはスルーするしかない。 「……どうした。まだ、なんか用事あったのか?」  寝ぼけ眼で壁に掛けられた時計を見ると、既に夜の八時だった。 「今日はこっちに泊まる」 「ふーん…………はあ!?」  がばっと起き上がる。  結構とんでもない事をサラッと言ってのけた。 「どうと言うことじゃない。昨日もそうした」  なるほど、今朝あんなに早い時間から家にいたのはそれでか。 「……まあ、いいや。俺も話したいことあったしな」  ソファーに座り直すと頭を掻いた。 「…………意外」 「なんだよ」 「ここでも一悶着あると思っていたから」  ……どうやら雪の中では俺はとにかくなんにでもツッコミをするキャラで定着しているようだ。
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