第一章 其の二 三人(at Home)

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「……ん、どうした?」  俺はそ知らぬ顔で聞く。既に感づいていると気付かれては元も子もないからな。  しばらくの沈黙。雪は口を開かない。  なんだろう。こちらを焦らす作戦か? と思ったとき、 「拓海の部屋に行っていい?」  と雪がぼそりと言った。  キタ────!!  既に俺の部屋には様々な仕掛けが施してあるのだろう? 知っているさ。本来ならそれに気付かぬ者を驚愕させ、その反応を見て楽しむのがドッキリだ。  しかし、何かがあると分かっていれば、そんなものは恐るるに足りず!   いつもの俺なら、仕掛け全てを「なんだ、こんなものか……」と冷めた表情で言うだろう。  だが今の俺は違う。仕掛けた雪が逆に驚くほどの反応をしてみせる! なぜならば、俺は『期待に応える男』だからだ!  相手の企画を狂わすわけにはいかない。雪の期待通りに動こう。  今大切なのは、ノリとリアクションだ!
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