第一章 其の二 三人(at Home)

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「……まあ、いいぞ。何もないけどな」  俺はゆっくり立ち上がると自室へと歩く。が、雪はそれに続かない。 「…………」  なにやら立ち止まって、こちらを見つめている。 「……どうした?」 「…………変」  ドキィ!! ……ま、まさかもう感づかれたのか!? 「な、何が変だって?」 「やけに素直。……なにか企んでる?」  なんと! コイツ、出来るな。しかし、俺がそんな事態を想定していないとでも思ったか。  ここはいつも通りの反応で大丈夫だ。   「お前が来ることも知らなかったヤツが、一体何を企むって言うんだ?」 「…………それも、そう」 「だろ? まったく……どうしたんだ? いきなり」  俺はブツブツと言いながらドアを開ける。  あまり追求してもまずい。  灯りを点けるとクッションを一対、持ってきて座る。  片方は雪の分である。  しかし、雪はそんなものはお構い無しに俺のベッドの方に腰掛けた。  スルースルー。雪の行動の一つ一つが企みの一部かもしれないのだ。変にツッコンで、それをやめさせるわけにはいかない。
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