第一章 其の二 三人(at Home)

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 この場を取り繕う、というわけではないが、俺は努めて明るく振る舞う。 「大したことないさ。なんなら見せてやろうか?」  いや、流石に言いすぎか。上半身をくまなく怪我したのだから、それは俺の上半身裸を見せてやろうか? と言っているのと同じことなのだから。  が、俺の目の前の少女もまた、『期待を裏切らない女』だったようだ。 「…………見る」  間を置いて、言った。 「……………………は?」  雪は立ち上がると、つかつか歩いてきて、俺の目の前で立ち止った。 「脱いで」 「い、いやいやいやいや! ホントに大したことないんだって! 大丈夫だから……」 「脱ぎなさい」 「は、はい」  姫の貫禄を、初めて感じた。  ごそごそと、おどおどとワイシャツを脱ぐと、雪は改めてまじまじと見つめてくる。  俺はミイラ男よろしく、上半身くまなく包帯でぐるぐると巻かれて、所在なくつっ立っていた。  さりげなく身体に力を入れて、筋肉を隆起させようなどと、見栄も張ってみる。  ……いや、誰でもやるだろ?
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