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「傷口が見えない」
「見えてたら包帯の意味ねえだろ。……ちなみに聞くが、なんで見たいんだ?」
実のところ、俺も自分自身の怪我の具合をまともに見てはいないので、気にはなっているのだが。
「……医術の心得がある」
「……本当か?」
「擦り傷から切り傷までお手の物」
「狭いな!」
「うるさい。……横になりなさい」
「うるさい!? 横になったら包帯外せないだろ! 傷口が見たいんだよね!?」
「なら、今外す」
雪は俺の意見は最初から無視で、さっそく包帯を解いていく。
「どうせ洗うから外さないといけない」
「……確かにな」
雪の小さな体、すなわち他人よりも短めな腕でいそいそと、くるくると解いていく。
その手際は存外てきぱきとしていて、やや驚く。
しかし、よくよく見れば、不必要に力んでいるためか、頬が若干赤い。指先も妙に震えている。
「医術の心得なんて、方便かと思ってたけどな」
「……よく、静の手当てをしていたから」
あながち、嘘でもないらしい。
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