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中学、高校と歳を重ね、学年が上がるごとに機会こそ減ってはきていたが、その関係はいつまでも一貫していたと自負している。
彼女は俺自身が一番辛かったときに、傍にいてくれた人の一人だったし、俺も彼女の心細いときに傍にいてやれたのではと、そう思っている。
俺たち二人は家族で、兄妹で、親友だ。
しかし、そんな風に思っていたのは俺だけだったらしい。
桜は俺のことを家族や兄弟どころか、親友、いや友達とすら、見てはくれていなかった。そういうことだろう。
だけれども、気付いたそのとき直ぐに行動していれば、本来関係ない人物まで巻き込むことも、傷つけることもなかったはずなのに。
今さらどんな言い訳も後悔も遅い。何も取り戻せないし、何も変わらない。
だから俺に出来ることは、せめてこの出来事を、事実を、一片の偽りなく伝えることだけだ。
この物語においての加害者は俺で、被害者は桜、そして俺が巻き込んだ人全てということになるだろう。
これはバッドエンドだ。
この話に終わりというものを作るならば、だが。
誰も幸せになりはしない。
だからこそ、俺は加害者なのだ。
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