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「……拓海」
「な、なんでしょうか……」
雪は真剣な顔をして俺を見つめる。
……いや、俺じゃない。俺の頭を見ている。
「その怪我は?」
頭に手を置くと、こちらにもまるで和服の帯の様に包帯が巻いてあった。
……なるほどね。
ぐるぐると、巻かれていた包帯を外す。
怪我をしていたのは頭、というよりは額辺りで、そういえば、姉さんにやられたんだっけ、と思い出した。
雪は俺の額に手を置いたかと思うと、そのままゆっくりと髪をかきあげてきた。そして体ごと前にずらす。
すなわち、俺の腹辺りに腰を落ち着けている。
あれ、そういえばさっき雪はどんな風に俺の怪我を見てたっけ?
虫眼鏡での観察顔負けな位に、傷口に顔を寄せていたような。
いやいやいや…………さすがにそれはないだろう。
雪は躊躇なく顔をこちらに近づけてくる。
ってキタ────!!
マジな顔して何しようとしてるのコイツ!
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