第一章 其の二 三人(at Home)

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 姉さんの状況把握能力は疑いようがない。今の一瞬でも全て飲み込んだのだろう。  正直、言い訳なんてできはしないのだが。  ……待てよ。俺は姉さんを追いかけていいのか? むしろ積極的に逃げるべきじゃないか?  そう思ってピタリと足を止めてみたが、遅かった。俺は既にキッチンに到着していた。  視線の先には、エプロン姿の姉さんが俺に後ろを向けて立っていた。その右手には宣言通り包丁が。  俺に気付いたのか、姉さんはゆっくりとこちらに振り向いた。 「あら、どうしたの? いくらなんでも、こんな早くに夕飯は出来ないわよ」  姉さんは努めて静かに声を出しているように思える。優しく湛えられた笑顔が今の俺には恐ろしいものにしか見えない。  エプロンまで着けている。  あれは、返り血を浴びないようにするためか!? 「ね、姉さん……?」 「雪ちゃんは放っといていいの? お楽しみだったんでしょう? 今度は邪魔しないから、続きをやってくれば?」
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