第一章 其の二 三人(at Home)

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 どんなに忙しいときでも、怒っているときでも、面倒だと思われているときだろうと、俺はこんな姉さんを見た事がない。  なんだろう? 怒っているようには見えない。ただ、姉さんの周りに負のオーラが見える。そんな気がする。  どことなく、落ち込んでいるような。 「い、いや、アレはそういうつもりだったんじゃなくて……」 「拓海」 「はいっ!!」 「私にそんな嘘がつき通せると、本気で思っているの?」  言葉に覇気が感じられない。 「あ、い、いや、別に……」  俺に他人のことは言えないが。 「私は今落ち込んでいるの。用がないなら、一人にしなさい」 「……え、と。どうして?」  馬鹿なことを聞いてみた。  あんたバカぁ? と言われるのがオチである。 「ああ。あんたは寝てたから知らないわよね。さっきのは私が雪ちゃんに指示したことなのに、私が邪魔しちゃったから……」 「待て! どういうことだ!? あんたの策略なのか!?」
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