第一章 其の二 三人(at Home)

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「策略だなんて人聞きが悪いわねえ。私はアドバイスしただけよ。『ヤっちゃえ』って」  雪の行動がどこかおかしかったのはこのせいか。 「そんな安易なこと言ったら雪は信じるだろうが!!」  実際ヤラれかけたのだから、洒落にならない。 「害があるわけじゃないからいいじゃない。良い思いしたんでしょ?」 「そういうことじゃねえ! 良い思いも出来てねえしな!」  正直、やぶさかではないが。 「あー、そうなの。残念だったわねえ」  姉さんは振り返ってまた台所に向かう。 「本当はどうでもいいんだろ! そこまでして俺をからかいたいのか!?」  トントンと小気味良い音をさせながら、食材を切っている。 「別にー? まさか本当にやるとは思ってなかったし」 「嘘言え! 確信犯だろ!」  俺がどんなに訴えても暖簾に腕押し。正直、言っても無駄な気がする。  あー、疲れる。
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