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薄い青色のパジャマを着て、俺の真後ろに立っている。
「なにをしているの」
相変わらず疑問符無しの質問。
「いや、ちょっとな」
「…………そう」
雪はそれだけ言うと口を閉じる。
曖昧に返した俺の言葉が沈黙を誘う。ただ、あまり悪い気分はしなかった。
何分経っただろう。冷え込んだ風が二人の間を抜けていく。
雪が自分の腕を抱いて、ゆっくりと息を吐いたのが聞こえてきた。
やっぱり寒いのか。
上着でも貸してやろうかと思って声を掛けようとする。
その時、空の景色に変なものが混ざりこんできて、俺は思わず手を止める。
プラネタリウムのように映し出されていた星々が一斉に姿を消した。そして入れ替わるように、空、正確には天井の真ん中からぼんやりと青く光る、変なものが顔を出した。
それは、地球だった。
天井の内側に表示されていた星空が稼働を休止して消え、そして《羽》が開かれているのだ。
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