第一章 其の二 三人(at Home)

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「――俺は、そういう狭苦しい、退屈なのは嫌なんだ」  長々と、だらだらと話してしまった。  だが、ここまで言って、俺はようやく気がついた。  今俺が間違っていると言った貴族が、直ぐ後ろにいたことを。いや、長々話した相手こそが、その間違っている貴族だということを。  言い過ぎた。  俺はガバ!! と後ろを振り向いた。 「いや、今のは、そういうつもりで言ったんじゃなくて……」  完全に失言だ。怒らせるか、悲しませるか。どちらにしろ、ろくな事になりそうにない。 「べつに、いい」  しかし、雪は存外普通に返してきた。  雪は最初見たところから一歩も動かず、ただ俺に真っ直ぐ視線を向けていた。 「私も思っていることだから」  その言葉は罪悪感の棘となって、俺にぐさりと刺さった。  貴族は生まれながらにして権力を持っている。その貴族が今の社会の状態を作ったと言っていいだろう。  だが、それは雪じゃない。  少なくとも目の前にいる少女が行った事ではないのだ。  しかし、貴族は生まれながらにして貴族だ。  彼女は領主の娘として生まれ、たったそれだけの理由で、過去や、今の社会について責任があるのだ。
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