第二章 始まり(Like a Love Comedy)

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「…………お、おはよう」  もう一度言ってみる。 「しずかぁ…………きがえ」  しずか? しずかって『静』のことだよな。  ……って着替え!? 着替えを俺にどうしろと!? 「……はやくぅ……きがえさせて……」  何でそんな甘ったるい声出すんだよ! 寝起きはいつもそんな感じなのか!?  雪は俺のすぐ目の前に立つと、とろんとした瞳で見上げてくる。  ほんの少しの間放っておくだけで、そのまま寝てしまいそうだ。  つーか朝っぱらからなんだよこのシチュエーション!? 着替えさせるなんて無理に決まってる!  …………と、とにかく、こいつをしっかり覚醒させるしかないよな。  揺さぶって起こすことにする。  俺は未だにボーっと立っている雪の両肩に手を伸ばす。  べ、別にやましいことなんて考えてないんだからね!  自分で自分自身に釘を刺すと、表向きはいかにも面倒そうな顔をしてため息をつく。  そして彼女の肩を掴む。
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