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「おい、雪。いいかげ……」
「朝っぱらからアツいねえ、お二人さーん!!」
いいタイミングで、後ろから背中を思い切り叩かれた。犯人は、言うまでもないだろう。
姉さんこと、如月美智子だ。
俺は急な衝撃に体制を保てずに雪ごと前のめりに倒れる。
とっさに掴んでいた手を離し、右手は床を付き、左手で雪の頭を後ろから支える。
偶然というか必然というか不可抗力というか、俺は雪に覆いかぶさる形になる。
「あ、危ねーな!! 何するんだよ!」
俺は首だけ振り向いて心からの抗議をする。
「朝っぱらからラブコメやるあんたが悪いのよ」
罪悪感の欠片もないようだ。特に期待もしていなかったが。
「なにを……しているの」
疑問符無しの質問が、入れ替わるように正面から聞こえてきた。
降谷雪だ。今のごたごたで目を覚ましたのだろう。さっきまでの眠そうな声ではなくなっていた。
「え……」
首だけ向けて抗議していた俺は、当然ながら先ほどから体勢が変わっていない。
つまり、見る人から見れば、雪を俺が押し倒しているかのような形なのだ。
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