第二章 始まり(Like a Love Comedy)

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「おい、雪。いいかげ……」 「朝っぱらからアツいねえ、お二人さーん!!」  いいタイミングで、後ろから背中を思い切り叩かれた。犯人は、言うまでもないだろう。  姉さんこと、如月美智子だ。  俺は急な衝撃に体制を保てずに雪ごと前のめりに倒れる。  とっさに掴んでいた手を離し、右手は床を付き、左手で雪の頭を後ろから支える。  偶然というか必然というか不可抗力というか、俺は雪に覆いかぶさる形になる。 「あ、危ねーな!! 何するんだよ!」  俺は首だけ振り向いて心からの抗議をする。 「朝っぱらからラブコメやるあんたが悪いのよ」  罪悪感の欠片もないようだ。特に期待もしていなかったが。 「なにを……しているの」  疑問符無しの質問が、入れ替わるように正面から聞こえてきた。  降谷雪だ。今のごたごたで目を覚ましたのだろう。さっきまでの眠そうな声ではなくなっていた。 「え……」  首だけ向けて抗議していた俺は、当然ながら先ほどから体勢が変わっていない。  つまり、見る人から見れば、雪を俺が押し倒しているかのような形なのだ。
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