第二章 始まり(Like a Love Comedy)

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 学校までは雪と一緒に行った。  雪が教室に入ると、昨日の今日だからだろう。彼女は俺たちよりも早くに来ていたクラスメイトから一斉に注目される。  好奇というか、羨望というか。  あまり気分のいいものではなさそうだ。  だが、彼女はそんな視線に興味も示さない。すたすたと歩くと席に着いた。俺も一歩遅れて隣の、自分の席に座る。  ちらと目を向けると、雪は他に何をするでもなく、こちらを見るだけだ。  彼女にとって、クラスメイトはジャガイモか何かなのだろうか。  しかし、授業が始まるまでにはまだ少し時間がある。  雪と話していてもかまわないが、俺は暇をつぶそうと教室を見回してみる。  だが、あいつがいない。新ゆ…、悪友のあの男がまだ姿を見せていなかった。  時間はあると言っても、もうあと数分でホームルームが始まる。  杉原のやつ、また遅刻か?
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