春風と共に

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座禅が終わると景隆達は客間へと案内されて道阿弥を囲みながら兄弟水入らずの和やかな時間を過ごした 毎年ここで話す話はたわいもない話なのだが今年は違う話はどうしても織田信長の話になるのである 道阿弥は信長が桶狭間で今川義元を破ってから存在を知った そして聞こえてくる信長の噂 今までは信長の噂など気にしては居なかったが兄達が織田家に仕えるとなれば興味が湧く 兄達は兎に角上機嫌で信長をほめちぎる 道阿弥はそんな兄達の話を割って入った 「信長様は気性が激しい御方とか?」 「あ~怒ると閻魔様より怖いらしい」 景隆が応えた 「大丈夫ですか?」 道阿弥は心配顔で尋ねた 「何がじゃ」 「気性が激しく怒ると閻魔様より怖い御方なら仕事で失敗したら切腹させられませんか?」 道阿弥の言葉に景隆の笑顔が少し消えた 「心配いたすな怖いお人だが優しさは仏様並みじゃ」 次男が応えた 三男が道阿弥の肩に手をかけた 「六角氏には申し訳ないが信長様について行けば大名になれるかも知れないぞ!」 「大名!?」 道阿弥は驚いた 「国持ちになるかならないかは信長様じゃなく義昭様が決める事では御座らんか?」 道阿弥はそう言い放った
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