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それから道阿弥の周りでは緩やかに時は過ぎていき春を迎えた
道阿弥は満開に咲く境内の桜を見て心の中でくすぶる気持ちを抑えていた
そしてくすぶる気持ちを一気に炎上させる事が春風と共にやって来た
道阿弥の側に小僧が歩み寄って来た
「何か様か?」
小僧に尋ねた
「はい京より足利義昭様のお家来様が」
「何?足利義昭様の家来だと」
「はい京極様で御座います」
道阿弥は客間に通すようにと小僧に伝えて満開の桜を見つめた
客間では出されたお茶にも口を付けずに京極が座っていた
道阿弥は京極に手を合わせてお辞儀をした
京極もつられる様に手を合わせてお辞儀をした
少し沈黙があったが京極が切り出した
「足利幕府15代将軍足利義昭様の命により遷慶様をお迎えに上がりました」
京極の突然の言葉に道阿弥は驚いた
京極は驚いている道阿弥を無視して命状を差し出した
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