7人が本棚に入れています
本棚に追加
どう見ても娘の様子は尋常ではなく、到底家族の手に負えるものではなかった。
直ぐ様、医者が呼ばれた。
しかし、その医者にも、娘の異変の原因は分からなかった。
分からないなりに手を尽してみたところ、とりあえず状態を落ち着かせる事は出来た。
しかし、今でも殆ど毎晩、“異変”が訪れるのだと言う。
その状態が二日程続き、今度は隣接する家の子供に“異変”が現れた。
その翌日にはさらに隣、また次の日にはさらに隣と“異変”は広がっていき、今では十件以上の家で被害が出ている。
しかも、最初の娘は今でも回復の兆しが見えないどころか、その原因の手掛りさえも掴めない状態であると言う。
ここに至って、最初の娘の父親は、息子が聞いたという物音に注目した。
それは、“地の底から響く”“豚が残飯をあさる様な”音である。
言い伝えによれば、それは墓の下で亡霊が、自らの死体の肉をすする音なのだと言う。
つまり、亡霊の目覚めを告げる音なのだ。
最初のコメントを投稿しよう!